どっちが真実か

パラレルワールドラブストーリー』はかなりの傑作だと思える。あの人は自分の彼女編とあの人は親友の彼女編を交互に書いて10章立てにしてある。読者と主人公が共にどちらが真実かを混乱しながら、謎を解決していくところは推理仕立てで面白い。著書の導入では山手線か総武線か知らんが、決して交わらない線路を走る電車での出来事から始まる。これがまたいい。全体を通して、興味を引かれる始め方がうまい。恋愛、友情、謎解き様々なものが入り乱れる、男の気持ちは自分に照らしても、非常に共感の持てる作品だ。基本的に女性像は(?)がつく人物が多いが、(どの作品も天才的やったり不気味な人が多い)男となるとわかりやすく理解できる。葛藤や迷い、決断などが自分の経験を通してもよく伝わる。
主人公の崇史は別にいいやつではないが、悪くはない。好きなものは仕方がないでいいと思う。
ちょっとうわっとなる部分はあるが、読み終わってからの気分もよいし、締まった終わり方だとも思う。親友の恋人を好きになってしまった人はちょっと読んでみては。親友がどういう行動を取るかは知らないが…。
すごくドラマ化しやすくてまだされていないのが不思議なぐらい、脳裏に情景が出てくる作品だ。やってみてほしいなあ。
これを自分ランキング1位にしていいなあと思っていたのだが、つづく